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海岸の風に揺れるトベラ:美しい花々とその実の物語

植物

海辺に自然に溶け込むトベラの木は、春の終わりから夏の初めにかけて、甘美な香りを漂わせる白い花を咲かせます。秋に入ると、その果実が3つに割れて開き、触ると粘っこい質感の鮮やかな赤い種が現れる様子は、見る者を惹きつける美しさとともに、独自の魅力を放ちます。

トベラの木について:海辺で目にするその花と果実

トベラはトベラ科に属する常緑の低木または小型の木です。

トベラの基礎知識

この植物は、岩手県の南側の太平洋岸や新潟県の南の日本海沿いに自生し、その頑強な性質から、街路や公園、和風庭園や家庭の庭などでよく用いられます。雌雄異株のこの植物は、4月から6月にかけて、はじめは白い後に徐々に黄色を帯びる花を咲かせます。秋には果実が熟し、3つに割れて内側の粘液で覆われた赤い種が顕著になりますが、これは雌株にのみ見られます。独特の香りを持つこの木は、邪気を払うために大晦日や節分に使用される伝統があり、「トビラの木」としても親しまれています。

学名はPittosporum tobiraで、日本、朝鮮半島、中国を原産地とし、「慈しみ」を花言葉としています。

トベラの花に関して

トベラは枝端に星形の白い花を多数咲かせることで知られており、その花からは心地良い甘い香りがします。

開花当初は真っ白ですが、時間が経つにつれて黄色がかった色へと変化します。花弁は5枚で、一枚あたりの長さはおよそ1センチメートル。雌花では、中心部に3つに分かれた柱頭を持つ雌しべがあり、また5本の雄しべが存在します。雄花には、発達しない雌しべが中心にあり、同様に雄しべが5本あります。

トベラの実の特徴について

トベラの花が終わると、直径約1.5センチの果実が成長し始めます。

最初は緑色のこれらの球形の果実は、時間が経つにつれて黄色に変化し、最終的には灰褐色に熟して、3つに裂けて中の赤い種子を露出させます。

赤い種子は粘り気のある液体で覆われていて、この粘液が果実が割れた後も種子が地に落ちずに留まるようにする機能を果たしています。

果実が完全に熟し黒く変色し3つに裂けた際には、赤い種子がはっきりと見え、これに触れると粘着性が強く、簡単には手から離れない性質があります。この粘着性により、鳥が種子を運んでくれることが期待されています。種子は鳥が惹かれる鮮やかな赤色をしていますが、実は栄養をほとんど含まないただの薄皮で包まれた「果実擬態」であるとされています。

トベラは海風に非常に強く、防風林として利用されることもあります。葉は密集しており、そのために砂の侵入を防ぐなどの防風効果が高いと評価されています。枝の先に葉が集中して生えることから、輪生しているように見えることも特徴の一つです。葉は長さ4~7センチで、厚みがあり光沢のある革質で、形状は倒被針形から長楕円形になります。

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