春になると、道端や空き地、野原でよく目にする黄色い小さな花、ノゲシ(野芥子)とタンポポ(蒲公英)。見た目が似ているものの、ノゲシはもう少し小さくて繊細な花を咲かせます。両方ともキク科の多年生植物で、共通の特徴が多いですが、ノゲシは背が高く枝を広げて複数の花を持つのに対して、タンポポは地を這うように低く、単一の花茎の先に一つだけ花を咲かせます。
ノゲシとタンポポの特徴と見分け方
タンポポ(蒲公英)の基本情報
分類:キク科タンポポ属
別名:鼓草、蒲公英など
開花期:春(西洋タンポポは年間を通して)
ノゲシの基本情報
分類:キク科ノゲシ属
別名:鼓草、蒲公英など
開花期:春から秋にかけて
簡単な見分け方
タンポポは花茎が直立し、その先に一輪だけ花をつけます。
ノゲシとタンポポの草丈と葉の違い
タンポポは低い草丈で、地面近くに放射状に葉を広げるロゼット形状が特徴です。葉は細長く深く裂け、ギザギザした縁を持ちます。平均的な草丈は15から50センチメートルです。
一方でノゲシはより背が高く、茎に沿って羽状に深く裂けた葉を多く持ちます。葉の縁は不規則な鋸歯状で、茎を取り巻くように生えています。ノゲシの平均的な草丈は50から100センチメートルになります。
どちらの植物も茎は中空で、ストローのような構造をしています。
タンポポの特徴と生態
タンポポには世界で約2000種類が存在し、日本にはそのうち15から20種類が生息しています。この中には、日本独自の在来種と海外から持ち込まれた外来種が含まれます。タンポポは非常に強い生命力を持つ多年草で、根が残っている限り、茎を切られても再び成長することができます。花は約3日間開花し、朝開いて夕方には閉じる習性があります。
都市部でよく見かける「西洋タンポポ」は外来種で、見た目は在来種と似ていますが、花の基部を包む総苞片が反り返っているかどうかで区別できます。外来種は反り返っていますが、在来種はそうではありません。ただし、交雑種は識別が難しい場合があります。
タンポポの果実は風に乗って飛ぶ綿毛付きの種子で、綿毛は白く美しい球形をしており、その魅力の一つです。
ノゲシとその近縁種、オニノゲシ
ノゲシ(野芥子)はヨーロッパ原産で、日本全国どこにでも生息するキク科の雑草です。葉の形がケシに似ているためこの名が付けられましたが、実際にはケシ科とは異なります。
ノゲシは小さな黄色い花をたくさんつけ、見た目は小さめのタンポポに似ています。花が終わると、種を成熟させるために総苞が膨らみ、綿毛に乗せられた種が風に飛ばされます。この綿毛はタンポポと似ていますが、より柔らかくふわふわした感触です。
ノゲシの葉は長さ15〜25cmで羽状に深く切れ込んでおり、基部は茎を抱くように広がります。葉には柔らかい刺がありますが、触っても痛くありません。
一方、オニノゲシはノゲシと似ていますが、より強い外見をしており、葉に光沢があり、先端が鋭く尖っていて触ると痛いです。オニノゲシもヨーロッパ原産で、温暖な地域では年中花を楽しむことができます。