八重桜はその重ねた花弁が織りなす壮麗な美しさで、多くの人々を魅了します。ソメイヨシノの花が散ったあとに美しい姿を見せる八重桜の中から、特に美しく珍しい品種を選んでご紹介します。ここでは、春の風景を美しく彩る八重咲きの桜の中から、特に目を引く6種類を選びました。
八重咲きの桜は、一般的な桜に比べて花弁が多層になっていることが特徴です。これらの花はサイズが大きめで、花弁の数も多いため、ふっくらとした球形に見えます。また、開花期間が長めであることも、このタイプの特徴です。通常のソメイヨシノなどは5枚の花弁を持ちますが、八重咲きの桜は6枚以上の花弁を持つことで知られています。
八重咲きの桜には、オオシマザクラやヤマザクラから生まれた様々な栽培品種が存在し、「サトザクラ群」と総称されます。その中には「ボタンザクラ」と呼ばれるものも含まれています。八重咲きの桜は、6枚以上の花弁を持つことで、一重咲きの桜と区別されます。
開花時期は主に4月中旬から5月初旬にかけてで、「ボタンザクラ」「サトザクラ」「キクザクラ」といった別名もあります。これらの桜の花言葉には「豊かな教養」「善良な教育」「しとやかさ」など、美しい意味が込められています。
関山(カンザン)
八重咲き桜の中でも特に人気が高い「関山(カンザン)」は、濃いピンク色の大輪の花弁が重なる美しさが魅力です。この品種は成長が旺盛で、公園や街路樹としてもよく利用されています。桜漬けの原料としても、「関山(カンザン)」が選ばれることが多いです。「セキヤマ」とも称されます。
普賢象(フゲンゾウ)
「普賢象(フゲンゾウ)」は室町時代から存在する古い品種で、淡紅色の花が特徴です。開花すると花弁は徐々に白く変わり、中心部は赤くなります。花の中心にある雌しべが葉のように変化するこの特徴は、普賢菩薩が乗る象の鼻や牙を連想させ、その名が付けられました。「フゲンドウ」という別名もあります。
松月(ショウゲツ)
「松月(ショウゲツ)」は、優しいピンクの花が特徴で、蕾の時は濃いピンク色をしています。満開になると、花びらの端は赤く、中心部は白く変化し、花全体が白っぽい色調になります。この品種の花は下向きに咲くことが多く、中心の雌しべが葉のような形をしているのが特徴です。学名は「Cerasus x serrulata ‘Superba’」です。
御衣黄(ギョイコウ)
緑黄色の珍しい花色を持つ「御衣黄(ギョイコウ)」は、開花時には緑色で、時間が経つにつれて黄緑色へと変わり、最終的には黄色になります。その後、中心部が赤く変化し、色の変遷を楽しめます。この名前は、平安時代の貴族が着ていた萌黄色の衣服に似た緑色の花びらから来ています。学名は「Cerasus lannesiana ‘Gioiko’」で、「ミドリザクラ」「キザクラ」「アサギザクラ」とも呼ばれています。
大村桜(オオムラザクラ)
非常に多くの花びらを持つ「大村桜(オオムラザクラ)」は、一つの花に60から200枚もの花びらがあり、二段咲きの特性を持ちます。外側の花と内側の花を貫くような一本の雄しべが特徴的で、美しい姿を見せます。この品種は昭和16年に大村の女子師範学校の教官であった外山三郎氏によって発見され、新品種として報告されました。学名は「Cerasus serrulata ‘Mirabilis’」です。
玖島桜(クシマザクラ)
長崎県の玖島崎城跡にちなんで名付けられた「玖島桜(クシマザクラ)」は、淡紅色の花を咲かせ、花びらの数は一花につき40から50枚です。大村桜と密接に関連しており、サイズでは少し大きめです。約半数の花が二段咲きを示し、雌しべは葉のように変わっています。学名は「Cerasus serrulata ‘Kusimana’」とされています。