藤は、春の終わりごろに美しい長い花穂を風に揺れるように咲かせ、その周囲に甘く美しい香りを広げる落葉性のつる性植物です。マメ科に属する藤は、一般的に蝶の形をした花をつけることが多いですが、中には「八重黒龍（ヤエコクリュウ）」（別名：牡丹藤）のように、珍しい重花をつける品種もあります。この品種は、その豪華な花が特徴で、見る人を圧倒するほどの美しさを誇ります。
黒紫色の美しさが際立つ八重黒龍（ヤエコクリュウ）の魅力
「八重黒龍（ヤエコクリュウ）」は、深い紫色の重花を咲かせることで知られており、黒龍藤というノダフジの変異種から生まれました。この種は、現存する藤の中でも唯一の重花を持つ種類であり、その球形に近い花は「黒藤」とも呼ばれることがあります。開花期は4月末から5月初めにかけてで、花穂は20〜30センチメートルにもなります。原生地は日本で、マメ科に属するこの植物は、学名「Wisteria floribunda ‘Violaceoplena’」とともに、長い間日本の庭園文化に栽培されてきました。
藤の歴史は古く、万葉集の時代からすでに庭園での栽培が行われていたと言われています。その名前の由来には諸説ありますが、「吹き散る」や、節がある茎にちなんでいるとされています。藤という字は「上に登る植物」を意味し、藤の花言葉は「君の愛に酔う」とされています。
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八重黒龍が見られる場所：千財農園（大分県宇佐市）
大分県宇佐市に位置する千財農園では、藤の美しい花房が重なり合い、その甘い香りを周囲に広げています。この農園に咲く特に八重黒龍と呼ばれる藤は、ブドウ房を彷彿とさせる独特の形状で知られており、通常の単花藤と比べてその雄大さと優雅さが際立っています。
各花は直径約2センチメートルと比較的小さいながらも、花房全体としては非常に派手で華やかな印象を与えます。深紫から始まる色調は、開花が進むにつれて徐々に薄くなり、繊細なグラデーションを楽しませてくれます。この花は、多数の雄しべが花弁のように変わり、蕾は濃紫色で、開花するにつれ色が変化します。
落花した姿、開花した状態、さらには蕾の段階でさえ、その美しさは目を引くものがあります。八重黒龍の葉は互生し、奇数羽状複葉で、細長い卵形の小葉が先端に向かって尖っています。葉の縁は滑らかで波打つ特徴があります。
一方で、通常の単花藤は、マメ科の植物らしい蝶形の花冠を持ち、5枚の花弁が特徴です。中でも一番大きな旗弁は、黄色いマークが蜜を示し、目立ちます。これらの比較からも、八重黒龍が持つ独自の美しさと特徴がよくわかります。
「千財農園」は宇佐市四日市小菊にあり、2400坪の広大な敷地には藤棚が広がり、250種類の藤が美しい景色を作り出しています。ここでは、様々な藤の花を楽しむことができ、特にシャンデリアのように華やかな花房は1メートル以上の長さで、訪れる人々にその美しさを見せつけています。この場所では、藤の花が作り出す独特の香りと共に、藤に包まれるような特別な時間を過ごすことができます。藤棚の下で過ごすひとときは、訪れた人々にとって忘れられない体験となり、千財農園の藤の美しさを深く心に刻みます。
所在地：大分県宇佐市四日市４３８８
営業時間：9：00〜17：00
