海岸沿いに自生し、風光明媚な景観を提供するトベラとシャリンバイは、一見似た外見をしており、区別が難しいことがあります。どちらも海辺でよく目にする美しい緑の植物ですが、葉の成長の仕方は似ているものの、花や果実の特性は大きく異なります。
海岸を飾るトベラとシャリンバイ、その違いとは?
自然に海岸線に育つトベラとシャリンバイは、その魅力から公園や庭園にもよく用いられています。
トベラとシャリンバイの特性
シャリンバイ(車輪梅)
シャリンバイは、宮城県から沖縄までの海岸近くで育ち、5月から6月には直径約1~1.5センチの白花を咲かせます。秋になると黒紫の果実が現れます。学名はRhaphiolepis umbellataで、バラ科シャリンバイ属に分類され、「ハマモッコク」という地方名もあります。
トベラ(扉)
トベラは、本州の太平洋側の岩手県南部から、日本海側では新潟県から沖縄まで見ることができます。4月から6月にかけて白い花が開花し、10月には赤い粘り気のある種を含む果実が3つに裂けて現れます。学名はPittosporum tobiraで、トベラ科トベラ属に属し、「トビラノキ」や「トビラキ」とも呼ばれます。
葉で見分けるトベラとシャリンバイ
トベラの葉は枝の先で密に集まり、長楕円形で先がカールすることが特徴です。
対照的にシャリンバイの葉も枝の先端に集まるものの、葉の縁に細かな鋸歯がある点で区別できます。両者の葉は少し肉厚で、低温で赤くなることがありますが、シャリンバイには丸い葉や小さめの葉を持つ品種もあります。
花によるトベラとシャリンバイの見分け方
トベラの花は性別によって異なり、雄花が多く初めは白く後に黄色味を帯びます。5枚の花弁があり、爽やかな香りがします。
シャリンバイは白い小さな花を咲かせ、中心がやや赤く見えるのが特長で、花弁は5枚で甘い香りが特徴です。「車輪梅」という名前は、この花の形から名付けられました。
果実で判別するトベラとシャリンバイの特徴
トベラの果実は秋に黒褐色に熟し、3つに分かれて開く特徴があり、種子は赤橙色で粘り気のある物質に覆われています。
一方、シャリンバイの果実は梨形で表面に白い粉があり、黒紫色に熟します。種子はほぼ球形で、やや大きめです。
トベラの四季折々の美しさ
春にはトベラが白い花を咲かせ、秋には赤い果実が目を引きます。
シャリンバイの年間を通じた魅力
春のシャリンバイは花が咲き乱れ、葉が所々で赤く染まります。秋には果実が成熟し、葉が紅葉することで、果実と紅葉の色が美しく調和します。