フキとツワブキは外見が似ているけれど、実際には全く異なる種類の植物です。どちらも丸い形の葉を持っており、見た目だけでは同じ植物に見えがちです。しかし、「蕗」という漢字を共有しながら、それぞれが独自の性質を持っています。また、春に楽しめる「ふきのとう」や、伝統的な料理に使われる「きゃらぶき」についても、これらの植物を巡る様々な疑問があります。
フキとツワブキの見分け方と特徴
フキとツワブキは、葉の形は似ていますが、他の特徴で区別することができます。
フキはキク科フキ属の多年草で、冬になると葉が枯れてしまい、地上部がなくなります。葉の色は薄い緑で、柔らかく、表面に光沢はありません。
一方で、ツワブキはキク科ツワブキ属の常緑性多年草で、一年中葉が青々としています。葉は濃い緑色で、厚く硬い質感があり、表面には光沢があります。
フキは自然界の山野に自生し、平安時代から食用や薬用としても使われてきました。一方、ツワブキは海岸近くの岩場や野山に自生し、「艶のある蕗」として親しまれ、観賞用としても人気があります。
葉の外見は似ているものの、花が咲く時期や形状はまったく異なります。
フキは初春に黄色や黄緑色の小さな花を咲かせますが、ツワブキは秋から冬にかけて、キク科の花に似た黄色い花を開花します。
さらに、フキの茎は内部が空洞ですが、ツワブキの茎にはそのような空洞がありません。
春の使者、「ふきのとう」の魅力
春の始まりを象徴する山菜である「ふきのとう」は、フキの未開花の花芽のこと。この部分はフキの葉柄、つまり茎から育ちます。ふきのとうが花開いた後、葉が成長し、春から初夏（4月から6月）にかけてがフキの美味しい時期になります。
「ツワ」と「ツワブキ」の意外な関係
「ツワ」と「ツワブキ」は、初耳かもしれませんが、実は同じ植物を指す言葉です。「ツワブキ」が短く言われたり、異なる呼び名としても使われています。
伝統の味、「きゃらぶき」とは？
「きゃらぶき」とは、フキを主材料にした伝統的な佃煮です。フキの茎を使ったこの保存食は、かつてはツワブキも使用されていました。その特徴的な濃い茶色は、貴重な香木「伽羅」の色と似ており、そこから「きゃらぶき」という名前がつけられました。
フキの野生の美しさ
春になると、フキの葉は豊かに茂ります。葉の裏側には細かな毛が生えていて、葉柄、つまり葉と茎を結ぶ部分には独特な特徴があります。地下の本来の茎から伸びるのは食用になる葉柄です。
3月には、フキは華やかに花を咲かせます。この植物は、花と葉柄を別々に育成する特性があり、雌雄異株であるため、花は雌と雄に分かれています。雌花は白っぽい色をしており、種子を遠くへ運ぶために長く伸びます。雄花は黄色っぽい色が特徴です。
食用になるのは、花が開く前に収穫される「ふきのとう」。野生のフキは「山ぶき」とも呼ばれ、その名は冬に咲く黄色い花や、かつての用途に由来するとされています。
学名はPetasites japonicusで、キク科フキ属に分類されます。原産地は日本で、花期は2月から5月。花言葉には「私を正しく見てほしい」「愛嬌」などの意味が込められています。
ツワブキの成長と魅力の探究
春に目にしたツワブキの葉は年間を通して瑞々しく、その常緑性多年草の性質がよく表れています。
葉の裏側を観察すると、若葉には灰色の綿毛が見られますが、葉が成熟するにつれてこの毛はなくなります。
ツワブキの葉柄は食べられる部分で、フキと似ていますが、ツワブキはやや苦く、食感は固めが特徴です。
10月の終わりには、ススキの最盛期とともに海辺でツワブキの花が開花しているのを目撃します。この花は明るい黄色が特徴で、晩秋から初冬にかけて長期間にわたり楽しむことができます。花は30cmから60cmの茎の先につき、直径は4cmから6cmに及びます。
ツワブキの花は、キクやヒマワリと同様に、舌状花と筒状花で構成された頭状花を持ち、中央には両性花が位置します。外側の花びらのような部分が舌状花に当たります。
2月には、花が咲き終わった後の種子がふわふわの綿毛をまとっている様子も観察できます。
秋になると、ツワブキはその鮮やかな黄色の花で山々を彩ります。また、斑入りの葉や特殊な形状の葉、八重咲きや丁字咲きなどの園芸品種もあり、多様性に富んでいます。
学名はFarfugium japonicumで、キク科ツワブキ属に属し、日本、朝鮮半島、中国が原産です。花期は10月から12月にかけてで、花言葉には「謙譲」「謙遜」「愛を再び」「先見の明」「困難に打ち勝つ」という深い意味が込められています。
