春が近づくと、彼岸桜、緋寒桜、寒緋桜が咲き誇りますが、これらの桜の違いを知っていますか?名前が似ているため、これらの桜を区別するのは一見難しそうに感じます。
春分の日頃に咲く彼岸桜(ヒガンサクラ)は、赤みがかった美しい花を早くから楽しませてくれることで有名です。それに対し、緋寒桜(ヒカンザクラ)と寒緋桜(カンヒザクラ)は、実は同じ桜のことを指しています。寒い時期に鮮やかな緋色の花を咲かせるこれらの桜は、名前の似ている彼岸桜と混同しやすいですが、「カンヒザクラ」の名で呼ばれることもあり、これは種を区別しやすくするためです。この桜は、まだ肌寒い2月にも花を咲かせ、控えめながらも鮮やかな色彩を見せてくれます。
桜はバラ科に属する落葉広葉樹で、日本では特に染井吉野(ソメイヨシノ)が広く親しまれています。しかし、野生種や園芸品種を合わせると、実に約600種類もの桜が日本国内に存在すると言われています。
春先を彩る彼岸桜の魅力と特徴
春分の頃に染井吉野に先駆けて咲き始める彼岸桜は、春の到来を告げるかのような特別な花です。この桜はバラ科の植物で、エドヒガンとマメザクラが自然に交配して誕生したとされ、春の彼岸の時期に開花することからこの名がつけられました。エドヒガンとも称されることがあり、寒緋桜のことを指して「ヒカンザクラ」と呼ばれることもあるため、注意が必要です。
彼岸桜には、小彼岸や江戸彼岸など、いくつかの異称があります。これらの名前はすべて彼岸桜を指し、花言葉には「心の平安」「独立」「精神美」があります。この種の桜は一般に非常に強健で長寿とされ、長野県には約130年の歴史を持つ木が、山梨県には日本最古と言われる1800年から2000年の樹齢を誇る山高神代桜があり、国の天然記念物として指定されています。
花の見た目については、小彼岸桜は染井吉野よりも色が濃く淡い紅色で、花弁は5枚です。また、江戸彼岸は桜の原種の一つとしても知られ、花は薄紅色から白色で、こちらも花弁は5枚。特に長命であることで知られており、その代表例である淡墨桜は岐阜県本巣市にあり、1500年以上の樹齢があるとされ、これも国の天然記念物に指定されています。
緋寒桜と寒緋桜、同じでも異なる?
緋寒桜と寒緋桜は名前が似ているため、よく混同されがちですが、実はこれらは同じ種類の桜を指します。
緋寒桜(ヒカンザクラ)の詳細
バラ科に属するこの落葉低木は、1月から3月の間に葉が展開する前に鮮やかな濃紅色の花を下向きに咲かせます。特に関東以南で庭木として人気があり、「元日桜」「寒緋桜」「緋桜」といった別名でも親しまれています。検索すると、ヒカンザクラと寒緋桜は同じであるという情報が多く見られます。
寒緋桜(カンヒザクラ)の特徴
寒緋桜はサクラの原種の一つで、旧暦の正月頃に開花します。この理由から「元日桜」とも呼ばれており、台湾桜や緋寒桜としても知られていますが、彼岸桜とは異なる種であることが注目されています。その魅力は、釣り鐘形の濃紅色の花が寒い時期に咲く点にあり、花の色は個体によって白から濃い桃色まで様々です。九州では梅の花と同じ頃に咲くため、特に楽しまれています。
寒緋桜のその他の名称と花言葉
沖縄県では寒緋桜が野生化しており、沖縄で「桜」と言えばこの種を指すことが多いです。早咲きの河津桜の親としても知られ、その花言葉は「艶やかな美人」を意味します。
まとめ
様々な種類がある桜は、それぞれが独自の美しさを持ち、冬の終わりから春にかけての季節の変わり目を華やかに彩ります。緋寒桜や寒緋桜は寒い時期にも関わらず咲き誇り、彼岸桜は春の訪れを告げる特別な花として染井吉野とは異なる時期に楽しまれます。名前が似ていても、それぞれの桜にはユニークな特性と見どころがあり、日本の四季を象徴する美しい景色を作り出しています。