サンガイグサ、別名ホトケノザは、放置された土地や野原、街角などでよく見かける、鮮やかな紅紫色の小さな花を咲かせる野草(雑草)です。この植物は春に花を開くことで知られており、冬の終わりからすでにその愛らしい姿を見せ、静かに春の訪れを伝えます。「サンガイグサ」の名前は、そのユニークな花の形が階段を思わせることからつけられました。
サンガイグサ(ホトケノザ)の観察のポイント
冬景色の中でも映える、1月末からのサンガイグサ。
サンガイグサ(ホトケノザ)の特徴
サンガイグサ(ホトケノザ)は、シソ科オドリコソウ属に属し、一年生または二年生の植物で、東アジアからヨーロッパ、北アフリカに自生し、日本では本州から九州で見られます。道端や畑、放置地、河川敷などでよく見かけることができます。植物の高さは10~30cmとなり、葉は互生し、下部に柄がありますが、上部には柄がなく、1~2 cmの長さで扇形または円形です。赤紫色の唇形の花は上部の葉の腋に輪状に配置されます。この植物は、仏様の座を思わせる葉の形から「ホトケノザ」と名付けられました。また、直立した茎に沿って葉が段々と配置されることから、「サンガイグサ」とも呼ばれます。白い花の変種もあり、「シロバナホトケノザ」と呼ばれています。春の七草に数えられるホトケノザは、実はキク科の「コオニタビラコ」という別の種類を指します。
科名・属名:シソ科・オドリコソウ属
別称:ホトケノツヅレ、カスミグサ、元宝草、宝蓋草
原生地:東アジア、ヨーロッパ、北アフリカ
開花時期:3月から6月
草の高さ:10~30cm
花言葉:「輝く心」
サンガイグサ(ホトケノザ)の生態と見どころ
サンガイグサ、別名ホトケノザは、生命力が強く、その群生する様子は多くの場所で見ることができる強靭な繁殖力を持つ野草です。この植物は、一つの茎から多数の花を咲かせ、開花せずに自己受粉し実をつける閉鎖花も持ち合わせています。
花は茎の上部に位置し、長さ約2センチメートルの赤紫色やピンクがかった色合いで、長い花筒を持ち上向きに咲きます。唇形の花は、上下に分かれた花びらが開いた口のような形状で、上部の花びらは雄しべを覆うようにし、短い毛が密生しています。下部の花びらは3つに分かれ、暗い赤紫色の斑点が特徴です。この斑点は、花粉の運び手となる昆虫を引きつけるための蜜標として機能します。
ホトケノザの花からは甘い蜜が得られ、子供たちにとっては花の蜜を吸う楽しい体験となります。花を軽く引っ張ることで簡単に蜜を吸うことができます。
蕾は濃い色合いでビロードのような質感を持ち、葉は放射状にその美しさを引き立てます。葉の階段状の配置はこの植物の特徴的な姿で、下部の葉は長い柄があり、半円形で細かな鋸歯が見られます。上部の葉は柄がなく、蓮華座のような形状をしています。萼は毛で密に覆われ、先端は5つに分かれます。
茎は直立し、赤みを帯びており、断面は四角形です。これはシソ科植物の典型的な特徴の一つです。
ホトケノザ(サンガイグサ)に似た花
姫踊り子草(ヒメオドリコソウ)もシソ科オドリコソウ属に属し、ホトケノザと似た特徴を持つ植物です。ヨーロッパ原産で、現在では日本の北海道から九州まで広く見られます。この植物の上部の葉はスペードの形をしており、微かに赤みがかっています。その名前は、その独特の形状が笠を被った踊り子を思わせるためにつけられました。
科名・属名:シソ科・オドリコソウ属
原生地:ヨーロッパ
開花期:3月から5月
草の高さ:10~20cm
花言葉:「活発」「陽気な心」「魅力」「春の喜び」
垣通し(カキドオシ)は、シソ科に属する多年生の草本で、もともとヨーロッパやアジア原産の帰化植物です。日本のあちこち、自然が豊かな場所や道端などで広がっているのを見ることができます。薬用としても使われ、「連銭草」とも呼ばれています。カキドオシの花は唇形をしており、ホトケノザを思わせる花冠が特徴です。比較的大きな花は直径約4cmで、花冠の内部には細かな白い毛が生えています。花の色は淡い紫から紅色に変化します。花が咲く時期には茎が直立して成長しますが、時期が過ぎると地面を這うように伸び、葉の間隔も広がります。この地面を這う成長特性から、垣根を越えて広がる様子を表す「垣通し」という名前がつけられました。
科名・属名:シソ科・カキドオシ属
別名:カントリソウ、レンセンソウ、ジシバリ
原生地:アジア、ヨーロッパ
開花期:4月から5月
草の高さ:5~25cm
花言葉:「喜び」「享楽」