ウド（独活）とヤツデ（八手）は、どちらもウド科に属し、花と実の形状が驚くほど似ています。花茎が枝分かれし、その先端には球形の花序が放射状に配され、白い花が咲く様子は、空気を纏ったピンポン球を思わせるほど軽やかです。花が終わった後には、はじめ緑色の実が現れ、徐々に黒紫色へと変化して熟します。この色の変化の過程は、非常に美しい光景を提供します。
ウド（独活）とヤツデ（八手）の魅力
ウド（独活）はウド科に属する多年草で、原産地は東アジアです。この植物は日本、中国、韓国などに自生しており、日本では北海道から沖縄までの広範囲に分布しています。独特な味わいがあることから、昔から山菜として珍重されてきました。
一方、ヤツデ（八手）は常緑低木であり、ウド科に分類されます。この日本固有の植物は、海岸線から丘陵地帯の森林内にかけて自生し、茨城県の南部から沖縄に至るまで太平洋沿岸に分布しています。そのユニークな葉は、天狗の羽扇を連想させ、庭園や公園装飾にも好んで用いられます。
ウド（独活）とヤツデ（八手）の花の共通性
ウド（独活）とヤツデ（八手）の花は、それぞれが球形の散形花序を形成し、複数の淡緑白色の小花が集まって咲く点で共通しています。
ウド（独活）の花は8月から9月にかけて開花し、花径は約3mm、花弁は5枚で構成されます。
対照的に、ヤツデ（八手）の花期は10月から12月で、花序はより大きくなり、花径約5mm、花弁も同様に5枚です。
ウド（独活）とヤツデ（八手）の実の共通点
ウド（独活）とヤツデ（八手）の実は、緑から黒紫へと変化する美しい過程を共有します。これらは、見た目は液果に似ていますが、実際には核果として分類されます。鳥がこれらの種子を運ぶことで、植物の分散に貢献しています。
ウド（独活）の実は秋に成熟し、その直径は約3mm、種子は白ゴマを思わせる小さな粒です。
一方、ヤツデ（八手）の実は春に成熟し、直径約5mmで、種子はやや扁平な楕円形をしており、約4mmの長さがあります。
ウド（独活）の魅力：花と実の詳細
ウド（独活）は、木のような見た目をしているが、実は多年生草本です。太くて強い茎は、地面から100～150cmもの高さに成長し、その葉は長さ10～15cmの卵形をした小葉が2回羽状に分かれています。これらは野生の山ウド（独活）として知られ、春にはその若い茎が山菜として高く評価されています。北海道の野生種からは多くの栽培品種が生み出されてきました。
ウド（独活）の名前については複数の由来がありますが、夏に大きな葉が風に揺れる様子から「独活（うど）」と名付けられたという説があります。また、茎が中空であることから「宇登呂（うどろ）」と呼ばれたり、地面にうずくまるような若芽を食べることから、「埋（ウゾ）」という言葉が変化したとも言われています。
学名はAralia cordataで、ウコギ科タラノキ属に分類されます。別名にはケウド（独活）、ホンウド（独活）、ツチタラなどがあり、原産地は日本です。開花期は8月から9月にかけてで、その花言葉には「おおらか」「淡泊」「忘れてしまった思い出」という意味が込められています。
夏には、茎の上部で多くの小花が球状に集まり開花します。これらの白い小花は淡緑色で、直径は約3mm、花弁は5枚です。さらに、両性花と雌しべを欠く雄花が存在し、花序は上部に両性のもの、下部には雄性のものが付きます。
秋になるとウド（独活）の実は、美しく色づき、液果のような外見をして熟すと黒紫色になります。
ヤツデ（八手）の魅力：花と実を通じて
ヤツデ（八手）は、独特の葉形で知られ、その名の通り「天狗の羽団扇」のような見た目が特徴です。葉は光沢があり、厚くて深い緑色をしています。それぞれの葉は、長さや幅が20～40cmに達し、7～9枚、時には11枚までの大きく掌状に分裂します。葉の端には鋸の歯のようなギザギザがあります。古来より幸運を呼ぶ木とされ、観賞用に庭に植えられることも多いです。また、日照条件にそれほど敏感でなく、影に強い陰樹種としても知られています。名前の由来は、葉が大きく多く分かれる様子からで、「八つ」という数よりも「多くの」という意味が込められています。
学名はFatsia japonica、ウコギ科ヤツデ属に属します。原産地は日本で、10月から12月にかけて開花します。その花言葉は「健康」「親しみ」「分別」と、暖かなメッセージを伝えます。秋に深まると、花が少なくなる中で、ヤツデの白い花が目を引きます。冬を越しても葉は落葉せず、常に茂った状態を保ちます。
花は、蕾が頂点の円錐形から順に開花し、散形花序を形成します。花の直径は約5mmで、花弁は5枚。雄しべと雌しべが1つずつあり、ウド（独活）と同じように両性花と雌しべのない雄花が存在します。
春には果実がたくさん実り、枝が果実の重みで垂れ下がります。始めは青く、成熟すると紫色へと変わり、その色鮮やかさはまるで装飾品のようです。
ヤツデは多様な品種改良が進んでおり、葉に白斑が入る「白斑ヤツデ」、葉の縁に白斑が現れる「フクリンヤツデ」、黄色い網目模様が特徴の「キアミガタヤツデ」、葉の裂片が特徴的に欠ける「矢車ヤツデ」、葉が波打つ「チヂミバヤツデ」など、見た目にもさまざまなバリエーションが楽しめます。
